アルカリ乾電池の安全な使用に関する注意事項

アルカリ乾電池は、正しく使用した場合には安全で信頼できる電源でありますが、万一、誤った取扱い方をされますと、電池が漏液、発熱、破裂する場合がありますので、以下の点に注意してください。
危険
  1. 電池内部の薬品や電解液には、直接触れないよう注意してください。この電池系ではアルカリ性溶液が使用されているので、液が付着すると衣服の損傷や皮膚のただれを起こすばかりでなく、目に入った場合には失明するおそれがあります
    ・アルカリ性溶液が目に入った場合には、直ちに多量の水で洗い流し、医師の治療を受けてください。
    ・皮膚や衣服に付着した場合にも、水で洗い流し、医師に相談してください。
  2. 電池は破裂を防ぐ目的で過剰な内圧を開放する機構を備えており、電池が充電やショート、過放電した場合、内圧の異常上昇が起こり、圧力解放弁の作動により漏液することがあります。しかしながら、極端な場合、状況により圧力解放弁が正常に機能せず、電池の破裂に至ることもあります
  3. 電池はショートにより発熱し、表面温度が100°C以上に上昇する場合があります
警告
  1. 電池の⊕,⊖の逆装てんをしないでください
    電池および機器には電池の極性⊕および⊖の表示があるので、これに従って常に電池を正しい方向に装てんしてください。電池が機器の中に誤った方向で装てんされると、外部ショートしたり、充電されたりすることがあり、急激な温度の上昇や圧力解放弁の作動が起こり、漏液、破裂などのおそれがあります。
  2. 電池を外部ショートさせないでください
    電池の⊕と⊖が直接電気的に接触するとその電池は外部ショートします。たとえば包装されていない電池とかぎ又はコインなどの金属物とがポケットの中に一緒に入っている場合や電池がお互いに重なり合ったり、混ざり合ったりした場合、電池は外部ショートする可能性があります。外部ショートすると一時に過大な電流が流れ、発熱のために内部構造が破損され、漏液、破裂などのおそれがあります。
  3. 電池を充電しないでください
    充電用として作られていないので、充電すると漏液、破損のおそれがあります。充電によって電池内部にガスが異常発生した場合には、電池の内圧が高まり、漏液、破損するおそれがあります。充電電流が過大であると、ガス発生が大きくなり、電池破裂のおそれがあります。特に未使用電池を充電した場合には、漏液、破損、破裂などの発生率が高くなります。
  4. 電池を過放電しないでください
    電池は機器が正常に作動しない状態になってからも、電気回路がつながったままで(スイッチ切り忘れなどによって)放置されると、電池内部の消耗が継続され過度の放電状態(過放電)となり、内部でガスが発生し、漏液、破裂することがあります。2個以上の電池を接続使用し、過放電すると、電池電圧が0V以下(転極)になることがあり、更に漏液、破裂が起こりやすくなります。
  5. 電池を強制放電しないでください
    外部電源を用いて電池を強制放電すると、電池電圧が極端に低くなることがあります。又、電池内部のガス発生によって漏液、破裂するおそれがあります。
  6. 電池を混用しないでください
    電池を交換する場合には、すべての電池を同じ製造業者の同じ種類の新しい電池と同時に交換してください。異なった種類の電池を一緒に機器に装てんしたり、新しい電池、使いかけの電池、使用済み電池などを一緒に装てんすると、電圧や容量の違いによって、幾つかの電池が過放電されることがあり、漏液、破裂のおそれがあります。
  7. 使い切った電池は直ちに機器から取り外して処分してください
    使い切った電池を長い間機器の中に放置すると、漏液や機器損傷などのおそれがあります。
  8. 電池を加熱しないでください
    電池を加熱すると、温度上昇によって電池に使用している樹脂部分が溶融変形し、漏液、破裂などのおそれがあります。
  9. 電池に直接溶接又は半田付けをしないでください
    電池に直接溶接又は半田付けをすると、電池が熱によって損傷を受けることがあり、漏液、破裂などのおそれがあります。
  10. 電池を分解しないでください
    無理に電池を分解しようとすると、手指をキズつけたり、電池の内容物が飛び散って目を痛めたり、皮膚をあらしたりするおそれがあります。
  11. 電池を変形させないでください
    電池を落下させたり、押しつぶしたり、穴をあけたり、切断したりすると、漏液、発熱、破裂などのおそれがあります。
  12. 電池を火中に投棄しないでください
    電池を火中に投棄すると、加熱されて破裂することがあります。
  13. 大人が監視していないところで、子供に電池の交換をさせないでください
  14. 電池は乳幼児の手の届くところに置かないでください
    口から飲み込む可能性のある電池は乳幼児の手の届くところに置かないでください。電池を飲み込んだ場合には、直ちに医師に相談してください。
  15. 電池を追加加工しないでください
    電池を追加加工すると圧力解放弁が適切に作動しなくなる場合があり、電池が破裂することがあります。
  16. 未使用の電池を外部ショートさせるおそれのある金属に近づけないでください、又、開封済み電池をごちゃ混ぜにしないでください
    包装から取り出した電池をごちゃ混ぜにする又は金属物と混ぜると、電池が外部ショートして漏液、破裂するおそれがあります。これらを防止するため未使用の電池はもとの包装のまま保管してください。
  17. 機器を長期間使用しない場合、電池を取り外してください
    機器が満足に動かなくなった場合、又は機器を長期間使用しない場合は直ちに電池を機器から取り外してください。使いかけの電池や使用済みの電池は未使用の電池よりも漏液しやすくなります。

荷扱い、輸送、陳列、保管および廃棄上の注意事項

  1. 電池包装箱を乱暴に扱わないでください
    電池包装箱を乱暴に取り扱うと電池が損傷、変形して、その電気性能が劣化したり、又漏液、発熱、破裂などのおそれがあります。
  2. 電池包装箱を規定の高さ以上に積み上げないでください
    電池包装箱をあまり高く積み上げると、下段の包装箱の中にある電池が変形して漏液することがあります。一般に段ボール包装の場合には1.5m以内が基準です。
  3. 電池は換気のよい、乾燥した涼しい場所に保管してください
    電池を高温・高湿の場所に保管すると電池性能が劣化したり、漏液を促進したりすることがあります。保管温度は+10°C∼+25°Cが適切であり、+30°Cを超えないことが望ましいです。極端な湿度条件(例えば相対湿度が95%以上)に長期間置くと電池や包装に害を与えるので、これを避けるようにしてください。又、電池をラジエーター、ボイラーの近辺又は直射日光下にさらされる場所に保管しないでください。
  4. 電池を倉庫に保管したり、店頭に陳列したりするときには、長期間の直射日光および雨水を避けてください
    高温にさらすと、性能劣化が大きくなったり、漏液が起こりやすくなります。又、電池が水に濡れると、絶縁抵抗が減少して、自己放電が起こったり、錆が発生することがあります。
  5. 包装していない電池は機械的な損傷や外部ショートを避けるために、ごちゃ混ぜにしないでください
    包装していない電池をごちゃ混ぜにすると、物理的に損傷を受けたり、外部ショートを起こして発熱することがあり、この場合、漏液や破裂が起こるおそれがあります。こうした障害が起こるのを避けるために、電池を使用するまでは、包装したままで保管してください。
  6. 輸送、陳列、保管など流通においては、先入れ、先出しを励行し、長期間の在庫とならないよう注意してください
  7. 電池は、自治体の指示に従って廃棄してください
    9V角形電池など端子形状によっては外部ショートする可能性があるため、電池を廃棄するときは端子部をテープなどで巻きつけて絶縁してください。

電池応用機器設計上の注意事項

  1. 技術的連携
    電池応用機器の製造業者は、電池業界と緊密な連携を取ることが望ましいです。機器設計着手時点で、既存電池の性能・特性に十分配慮してください。できる限りJIS C 8515に規定する電池を選択してください。機器には、最適な性能を発揮する電池のJIS又はIEC規格の形式、など級および大きさを明りょうに表示してください。
  2. 電池室
    1. 電池室は容易に開閉できるようにしてください。又、電池の装てんが容易にでき、容易に脱落しないように設計してください。電池室の寸法、形状および端子の設計は、この規格に規定する電池に適合させてください。特に、他の国家規格又は電池製造業者がより小さい電池公差を要求してきても、機器設計者はこの規格に与えられた公差を無視しないでください。
    2. 電池の負極端子面が、円筒側面からくぼんでいる電池形状も許容できるように、電池室の端子を設計してください。
    3. 乳幼児用機器の場合、電池室のふたを乳幼児が簡単に開けることができないように設計してください。
    4. 使用する電池の種類、正しい極性方向および装てん方法を明確に指示してください。
    5. 電池の逆装てんを防止するように、電池の⊕および⊖端子の形状および寸法をうまく利用して設計してください。電池の装てん時に、間違えないようにするため、電池室の⊕端子と⊖端子とでは、外観上の形状が異なるようにしてください。
    6. 電池室は、電気回路から絶縁してください。又、損害および傷害の危険性をできるだけ小さくするような場所に配置してください。電池の端子だけが電気回路と接触するようにしてください。この規格に規定する最大又は最小寸法の電池を装てんしても、良好な電気的接続を保つよう、接点の材料選択および形状設計に注意してください。電池室の接触端子部は、電気抵抗の小さい電池端子と同じ材質の材料を用いてください。
    7. 電池の並列接続配置は、誤装てんによって連続的に放電されることがありますので、好ましくありません。
    8. 電池の耐漏液性能は改善されてきていますが、漏液がまれに起こることがあります。電池室を機器室から完全に分離できない場合には、漏液による損傷をできる限り避ける位置に電池室を設けるようにしてください。
    9. 電池室には、明りょうに、又、消えないように電池の正しい装てん方法を表示してください。電池が逆装てんされた場合、漏液、破裂、発熱などのおそれがあります。この事故を避けるため、電池が逆装てんされた場合、電気回路が接続しないように、電池室を設計してください。
    10. 附属回路は、接続する箇所以外、電池のどの部分とも接触しないようにしてください。
    11. 設計者には、安全性に対する理解を深めるために、 JIS C 8514を参照することを、強く推奨します。
  3. 作動停止電圧
    電池の過放電漏液を防止するために、機器の作動停止電圧は、電池製造業者が指定する値以上にしてください。