負極材料メインイメージ 負極材料メインイメージ

負極材料

高性能な負極材料

ニッケル水素電池の負極材料には、一般的に希土類ーニッケル系AB5型水素吸蔵合金が用いられています。水素吸蔵合金は、図に示すように10Lの水素ガスを貯蔵するのに、高圧ガスボンベは14.3ccを要しますが、水素吸蔵合金は7.5ccと高密度で貯蔵できます。

10Lの水素ガスを貯蔵する場合の比較

FDKの独自技術

FDKでは、希土類ーニッケル系AB5型合金に代わり、図のように希土類-マグネシウムー系A2B7型合金“超格子水素吸蔵合金”を使用しています。
当社独自の超格子水素吸蔵合金の特長は以下の通りです。
  • AB2型とAB5型の両方のメリットを有するA2B7型結晶構造
  • 独自の結晶構造により高容量と高耐食の両立を実現しました。
結晶構造 AB2 A2B7 AB5
AB2ユニット数 1 1 0
AB5ユニット数 0 2 1
体積あたり電気化学容量 (△) ×
合金の微粉化酸化(腐食) ×
水素吸蔵放出の可逆性 ×
電池寿命 ×

FDKでの分析事例紹介

当社では、株式会社富士通研究所や京都大学の協力の元※1、SPring8等の放射光X線装置を用いた結晶構造の解析や走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察しています。
これらの分析の結果より、多相し、複雑や超格子水素吸蔵合金の結晶構造を解析し、開発の指針としています。

※1:I.J. hydrogen Energy 42(11574-11583) 2017

超格子水素吸蔵合金(RE0.9Mg0.1Ni3.3Al0.2)合金の結晶構造解析

FDKは、超格子水素吸蔵合金を放射光XRDで測定した回折ピークをリートベルト解析を行い、相の比率や元素の占有サイトを求めています。
R因子 Rwp 4.36
収束値 S 3.42
結晶構造の
重量分率(%)
A2B7_2H 91.2
A2B7_3R 1.7
A5B19_2H 1.2
A5B19_3R 3.5
AB5 2.4
A2B7_2H
元素占有率(%)
Aサイト元素 RE Mg
RE1(AB2) 82.3 17.7
RE2(AB5) 100.0 0.0
Bサイト元素 Ni Al
Ni1
(AB2とAB5境界)
98.5 1.5
Ni2
(AB5境界)
81.4 18.6
Ni3(AB5) 95.7 4.3
Ni4(AB5) 100.0 0.0
Ni5(AB5) 94.5 5.5

超格子水素吸蔵合金(RE0.9Mg0.1Ni3.3Al0.2)のSTEM像 

透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、直接、元素配列を確認し、XRDとの整合性を確認。

充放電後の水素吸蔵合金の表面のSEM像

充放電後に水素吸蔵合金の表面を観察し腐食状態を確認しています。
ニッケル水素電池の劣化の主原因は、水素吸蔵合金の腐食が原因であり、当社では、金属Ni量を磁化率測定を行い、腐食(酸化)量から電池寿命を予測しています。
水素吸蔵合金表面のSEM像